リーディングに役立つタロット解説｜カップ（CUPS）06「過去の温もり」

神貴
6月3日
読了時間: 5分

更新日：6月17日

リーディングに役立つタロット解説

監修：七水（しちすい）占術研究家、占い師

小アルカナの「カップ（CUPS）06」のカードは、懐かしい記憶や過去の感情に関するテーマを内包するカードです。幼少期に感じた幸福感、家族や友人との純粋な関係性、あるいはかつて大切だった価値観への回帰を示唆します。このカードが現れるとき、私たちは現在の状況に対して、過去の出来事が何らかの形で影響していることに気づく必要があります。また、人間関係では利害を超えた誠実なつながりが強調され、無償の愛や信頼が再び問われることがあります。古い友人との再会、忘れていた夢の再発見、また心の内側に眠っていた優しさに触れる機会が訪れることを暗示します。

1. カップ（CUPS）06のイラストの意味と象徴性

このカードには、カップを差し出す子どもと受け取る子どもが描かれ、両者の間には疑いのない純粋な思いやりが表現されています。カップには白い花が挿されており、誠実な気持ちや無垢な愛情の象徴です。背景には静かな村の風景や通路を歩く大人の姿が描かれており、時間の経過や成長の過程、過去から現在へと続く感情の流れを示しています。全体としては、ノスタルジーに満ちた優しい世界が表現され、現代の複雑な状況の中でも、原点となる心の温もりを再確認する必要性を伝えています。イラストは、今も心に生きる「大切な何か」を思い出させてくれる構図となっています。

白い花：純粋な思い
子どもたち：無垢な交流
差し出すカップ：善意と贈与
村の風景：平穏な日常
背景の建物：安定と過去の基盤
通路を歩く大人：時の流れと成長

2. カードの番号と意味

数秘術において「6」という数字は、調和、愛情、責任、家庭的な価値観といったテーマを象徴します。タロットにおけるカップ6では、この数字が内包する温かなエネルギーが、感情面や人間関係における「心の安定」や「癒し」の要素と結びついています。6は、他者を思いやる心や、献身的な愛を表す数でもあり、それがカードの中での子どもたちの姿に投影されています。また、過去と現在の橋渡しを担う意味もあり、時間を超えた思いや記憶の再認識を促します。この数字が持つ「守り育てる力」が、自己と他者との関係を改めて見直すきっかけとなり、過去の価値を再評価することにつながるのです。

3. カップ（CUPS）06の象徴的な役割

カップ6はタロット全体の中で、「過去の記憶からの癒し」や「純粋な感情の再確認」を象徴するカードです。人間関係や精神状態において、忘れていた優しさや純粋な動機が浮かび上がり、それによって現在の問題や迷いに対するヒントが得られることを示唆します。また、物事の本質を見失いかけたときに、かつての自分や人とのつながりを振り返ることで、心を整える働きもあります。利害や計算から離れた、本来あるべき優しさを思い出させる役割を持ち、未来への進展を目指す前に、まず心の原点に立ち返ることの大切さを教えてくれるのです。過去を癒し、現在を照らす灯火のような存在です。

4. 歴史的背景

カップ6は、ライダー・ウェイト版タロットにおいて、特に「記憶と感情」を視覚化した印象的なカードです。1909年、アーサー・E・ウェイトの思想に基づき、パメラ・コールマン・スミスによって描かれたこのカードは、それ以前のマルセイユ版などのタロットと異なり、具象的な人物を使って感情の深層を表現しました。子どもたちや村の風景という穏やかな場面を通じて、視覚的に「懐かしさ」「癒し」「純粋な人間関係」を伝えようとしたのです。ウェイトは、内面的な意味を重視し、このカードを通して「心の故郷」への回帰や、人間本来の温かさを描こうとしました。その伝統は、現代の多くのタロットにも受け継がれています。

5. リーディングに役立つタロット解説

占いでカップ6が出た場合、それは「過去が現在に優しく影響する」ことを意味します。懐かしい人との再会や、昔の思い出が感情的な癒しとなる出来事が起こる兆しです。今抱えている問題に対して、過去に得た経験や知識、あるいはかつての信頼関係が助けになる可能性もあります。恋愛においては、無垢な感情や、幼い頃のような素直さが関係性を良い方向へと導くことがあります。仕事や人間関係では、昔の仲間や古い習慣の中に、ヒントや再出発のきっかけが隠されていることもあるでしょう。今一度、過去に目を向けることで、未来への前進に必要な力を得られるカードです。