リーディングに役立つタロット解説|カップ(CUPS)08「成長のための離別」
- 神貴

- 6月5日
- 読了時間: 5分

リーディングに役立つタロット解説
監修:七水(しちすい)占術研究家、占い師
小アルカナの「カップ(CUPS)08」のカードは、過去の感情的なつながりや満足から距離を置き、新たな目的を求めて歩き出す姿勢を象徴するカードです。長年築いてきた関係や環境に別れを告げ、魂の本質や人生の真の意味を見つけようとする決断を表しています。この選択には未練や不安、喪失感が伴うものの、それを乗り越えて前進することが求められています。現在の状況に満足していないものの、変化を恐れて留まり続けている人に対して、内なる声に耳を傾け、真の充足を見つけるために旅立つ勇気を持つよう促しています。精神的成長や自己探求を目的とする、意識的な転換点に立っていることを示すカードです。
1. カップ(CUPS)08のイラストの意味と象徴性
カップ8のイラストでは、整然と並んだカップと、それに背を向けて山道を進む人物の姿が印象的に描かれています。これは、感情的に価値あるものや愛情を残してでも、新たな目的や人生の真理を求める選択を象徴しています。月が空に浮かび、満月と三日月の両方が描かれていることは、無意識や直感、そして感情の揺れを示し、旅の不確かさと神秘性を強調します。人物が赤いマントを羽織っているのは、まだ情熱を持っていることの象徴であり、安易な逃避ではなく意志ある旅立ちであることを示します。岩場や山は困難な道を暗示しながらも、その先に新たな気づきがあることを予感させる構図となっています。
8つのカップ:過去の感情的成果や関係性
月(欠けた月と満月):無意識・直感・迷いと啓示
赤いマントの人物:情熱を持った離別者
山と川:険しい未来と感情の流れ
岩場の道:不安定な選択と困難の象徴
人物の後ろ姿:過去への別れと新たな旅立ち
2. カードの番号と意味
タロットにおいて「8」は、物質的成功、バランス、循環を表すとともに、努力と報酬の関係性も示す重要な数字です。カップ8ではその「8」の力が精神的な側面に向けられ、感情的な完成を捨てて、より高次の目的を追求する行動を促します。また、「8」は横に倒すと無限大(∞)の記号に見えることから、魂の成長や終わりなき内的変容のサイクルを象徴します。このカードは、物質的・感情的な安定の先にある“魂の欲求”に目を向ける段階を示しており、現状維持ではなく、新たな局面に進むための葛藤と突破を象徴しています。「8」は静的な安定の数でありながら、カップ8では動的な離別を意味するという、深い内的矛盾を内包しています。
3. カップ(CUPS)08の象徴的な役割
カップ8の象徴的な役割は、過去の情や慣れ親しんだ環境から一歩離れて、自分自身の深層と向き合うことにあります。このカードは、現状に満足していないにもかかわらず、惰性で同じ場所に留まり続けている人に「変化の選択肢」を提示します。たとえそれが孤独を伴ったとしても、自己成長や魂の充足には不可欠なステップであると示しています。これは逃避ではなく、内的成熟に向けた能動的な決断です。精神的な目覚めを得るためには、時に快適さや安心感を犠牲にする必要があることを伝えています。魂が本当に望んでいる方向に向かうために、現実を見極め、感情に流されずに選択する力を象徴するカードです。
4. 歴史的背景
タロットカードが中世ヨーロッパで遊戯として広まったのち、15世紀以降には神秘主義や占術の道具として進化を遂げていきました。その中でカップは、愛や感情、精神性の象徴として確立され、カップ8はその集大成からの「離脱」としてユニークな立ち位置を占めています。19世紀末から20世紀初頭に登場したウェイト=スミス版タロットでは、視覚的な物語性を重視し、このカードに「背を向けた旅人」の図像を与えました。この構図は、キリスト教の巡礼思想やカバラの“生命の木”における道程とも呼応し、「魂の進化」の一段階として解釈されます。ウェイト版においては、個人的充足を越えて、精神的・霊的な真理を追求する人物像がここに描かれているのです。
5. リーディングに役立つタロット解説
占いにおいてカップ8が現れるとき、それは「今いる場所を離れ、内なる声に従うべきとき」であることを告げています。過去に感情的な満足や達成を得たとしても、心のどこかに空虚感や違和感が残っている場合、その原因は自分自身の魂の成長欲求にあります。このカードは、安定や快適さにしがみつくのではなく、あえて不確かで未知の道へ踏み出す重要性を示しています。恋愛面では、関係の再考や距離を置く必要性、あるいは別れが示されることもあります。仕事ではキャリアの転換点や転職の可能性が暗示されます。いずれにおいても、目に見える成果ではなく、内面の納得や精神的成長を最優先する選択が求められている状況です。
正位置の場合:
魂の旅立ち
別離の選択
内省の時期
再出発の意志
感情の整理
覚醒の兆し
逆位置の場合:
未練の束縛
迷いの停滞
惰性の継続
恐怖の支配
感情の混乱
成長の拒絶

大アルカナ(Major Arcana)
小アルカナ(Mminor Arcana)
ワンド
ペンタクル
ソード
カップ








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