リーディングに役立つタロット解説|カップ(CUPS)07「幻想の世界」
- 神貴
- 6月4日
- 読了時間: 5分

リーディングに役立つタロット解説
監修:七水(しちすい)占術研究家、占い師
小アルカナの「カップ(CUPS)07」のカードは、幻想・誘惑・選択肢の多さといったテーマを内包するカードです。目の前には無数の可能性や魅力的な選択が広がっており、一見すると夢がかなうような好機にも見えます。しかしその実、多くは現実味に乏しく、希望的観測や空想に基づいており、足元の現実を見失ってしまう危険性をはらんでいます。このカードは、感情や欲望に流されやすい状態、もしくはそのような状況に陥りやすい心理を示しています。真の目的を見失いかけているとき、もしくは自分の本当の望みに気づかず、選択を誤る恐れがあるときに現れます。重要なのは、表面的な魅力に惑わされず、自らの価値観に基づいて冷静に判断すること。迷いの中にある人にとって、目を覚まさせるようなカードです。
1. カップ(CUPS)07のイラストの意味と象徴性
カップ7の絵柄には、雲の上に7つのカップが浮かび、その中にはさまざまな象徴物が描かれています。美女、宝石、蛇、竜、仮面、塔、そして布に包まれた謎の何かなど、それぞれが人の欲望や恐れ、理想や誘惑といった心理的要素を示しています。たとえば宝石は富と物質的成功への願望を、美女は愛や性的魅力、仮面は虚像や偽りの自己を、蛇は知識あるいは誘惑を象徴しています。また、竜は力と危険の両義性、塔は達成と崩壊の二面性を持ち、覆われた何かは未知なる可能性や、潜在意識の奥深さを暗示しています。これらの象徴物はすべて魅力的に見える一方で、その背後には罠や不確実性も潜んでおり、選択の難しさを強く印象づけています。
宝石:金銭的欲望と成功の願望
美女:愛情や快楽の追求
仮面:自己喪失と見せかけの自我
ドラゴン:力と危険の象徴
塔:精神的挑戦または崩壊の暗示
蛇:誘惑と知識の両義性
覆われた物:未知の可能性と不確実性
2. カードの番号と意味
「7」という数字は、タロットにおいて精神的試練、探求、そして内面的な成長を象徴しています。数秘術の観点から見ても、7は直感・分析・哲学的思索といった意味を持ち、表面的な現象の奥にある真実を探ろうとする知的・精神的な姿勢を表します。このことは、幻想と選択の狭間で揺れるカップ7の性質と深く共鳴します。7という数字は、進化の過程で通る孤独や迷い、また「本質を見抜く力」が試される場面を示しており、人生における大きな転換点に現れることもあります。表面的な選択肢の多さに目を奪われるのではなく、自分自身の内側に深く問いかけ、より確かな答えを導き出すことがこのカードのメッセージです。見かけの派手さではなく、真の価値を見極める視点が問われています。
3. カップ(CUPS)07の象徴的な役割
カップ7は、人生における「幻想」と「選択」の間で揺れる私たちの心の姿を象徴的に表しています。目の前には多くの選択肢が提示されており、それぞれが非常に魅力的であるため、どれを選んでも正解のように感じてしまいます。しかし、その中には実態のないものや、感情に流されてしまうことで失敗を招くものもあります。このカードの象徴的な役割は、こうした「外見に惑わされる危険性」を警告し、表面の魅力の背後にある本質を見抜く力の大切さを思い出させてくれる点にあります。自分が何を本当に望んでいるのか、またそれは現実的に可能なのかを見極めることが、カップ7が提示する大きなテーマです。夢と現実の間で揺れ動く人に、真の選択を迫るカードなのです。
4. 歴史的背景
カップ7の幻想的で象徴に満ちたイメージは、19世紀末に登場したウェイト=スミス版(ライダー版)タロットによって確立されました。アーサー・E・ウェイトが解釈を担当し、パメラ・コールマン・スミスが絵を描いたこのデッキでは、伝統的な小アルカナに象徴的なイラストを加えることで、カードの意味を視覚的に分かりやすく表現しています。それ以前のマルセイユ版などでは、カップ7は単なるカップの羅列に過ぎず、現代的な「幻想」や「誘惑」といった解釈は存在しませんでした。ウェイトの神秘思想や秘教的な観点を取り入れることで、内面的葛藤や選択の迷いといったテーマがこのカードに込められるようになり、現在では心理学的な観点からも深く読み解かれるカードとなっています。
5. リーディングに役立つタロット解説
占いにおいてカップ7は、「選択肢が多く、しかしどれも決定打に欠ける状態」や「空想に逃げて現実が見えていない状態」を象徴するカードです。状況は一見華やかで、さまざまなチャンスや可能性があるように見えるかもしれませんが、実際にはどれも不透明で、現実性が低いことが多いです。恋愛面では、理想にとらわれすぎて実際の相手を見誤っていたり、複数の相手に目移りして関係が曖昧になっている状況を表すこともあります。仕事では、あれこれと手を出しすぎて集中できず、結果が出にくい時期を示すこともあります。このカードが出た時は、一度立ち止まって冷静に状況を見直し、自分にとって本当に価値ある選択は何かを見極めることが必要です。感情よりも理性を優先すべきタイミングといえるでしょう。
正位置の場合:
空想の広がり
多様な選択肢
願望の投影
理想の追求
芸術的感性
魅惑の誘惑
逆位置の場合:
判断の混乱
現実逃避傾向
誘惑への執着
自己欺瞞状態
空回り思考
決断力不足

大アルカナ(Major Arcana)
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カップ
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