リーディングに役立つタロット解説｜カップ（CUPS）05「喪失と希望」

神貴
6月3日
読了時間: 5分

更新日：4 日前

リーディングに役立つタロット解説

監修：七水（しちすい）占術研究家、占い師

小アルカナの「カップ（CUPS）05」のカードは、「喪失」と「後悔」を象徴するカードで、過去に起きた出来事に対して未練や悲しみを抱いている状態を示します。人物は倒れたカップに目を奪われ、すでに失ったものへの執着や絶望の中にいます。しかし彼の背後には、まだ満たされたカップが二つ残っており、未来にはまだ希望が残されていることを暗示します。このカードは、「失ったこと」にとらわれるあまり、「まだあるもの」に気づけない状況を映し出しています。気持ちを切り替え、新たな視点を持つことで希望を見出す可能性があることを、そっと教えてくれているのです。再起と回復の糸口はすぐ近くにあるのです。

1. カップ（CUPS）05のイラストの意味と象徴性

カップ5のイラストには、黒いマントを羽織った人物が3つの倒れたカップを見下ろして立っています。これは過去の喪失や失敗に深く囚われ、そこから目を離せずにいる様子を表しています。人物の背後には、まだ倒れていないカップが2つ立っており、これは今も残されている可能性や救済、再生の兆しを象徴しています。さらに、川を挟んだ向こう岸には橋があり、そこを渡ることで遠くに見える城へと到達できるという構図になっています。この風景は、「立ち直る道は存在する」というメッセージを暗示しており、絶望の中にも再生のチャンスがあることを表しているのです。視点を変えることの大切さを教えています。

倒れた3つのカップ：過去の失敗、喪失、後悔

立ったままの2つのカップ：まだ残された希望や救い

黒いマントの人物：悲しみ、自己閉鎖、内省

橋：新たな道、再起への可能性

川：感情の流れ、境界、内面の変化

城：安定、安全、感情の回復地点

2. カードの番号と意味

「5」という数字は、タロットにおいて「変化」「挑戦」「不安定さ」を象徴する数字です。安定を表す「4」の次に位置するため、そこからの崩れや予測できない感情の揺らぎを意味します。カップ5においても、それまで保たれていた感情の均衡が崩れ、喪失や後悔といったネガティブな感情に圧倒される様子が描かれています。しかし同時に、変化とは成長の入り口であり、現状を乗り越えることで新たな安定に向かう契機となります。つまり5という数字は、「つまずきと再起」のフェーズを示しており、カップ5は感情的な試練を通じて再生への道筋を見つけるカードでもあるのです。

3. カップ（CUPS）05の象徴的な役割

カップ5は、感情面における試練や後悔と向き合うための象徴的なカードです。人は喪失を経験すると、その痛みや失敗から目をそらせずにいることが多くなります。このカードはそのような心の状態を示しつつ、同時に「そこからどう立ち上がるか」という問いかけを投げかけてきます。過去に縛られたままでは前進できず、未来を築くためには視点を変え、今残されたものに目を向けることが必要です。このカードの役割は、喪失による一時的な感情の停滞に気づかせるとともに、回復と再構築の重要性を伝えることです。感情のリセット、そして希望への扉を開く鍵として働くのです。

4. 歴史的背景

カップ5のカードは、中世ヨーロッパの神秘主義やルネサンス期の象徴主義の影響を受けて描かれたものとされます。ライダー版タロットの中でもこのカードは非常に感情的な側面を強調しており、特にヴィクトリア朝時代の「喪失の美学」や「感情の内省」といった文化的傾向が色濃く表れています。イラストの構成にはキリスト教的な救済のイメージも内包されており、「喪失と再生」というテーマは宗教的儀式にも重なります。また、このカードは近代以降の心理学、特にユング派の「個人的無意識」に関する象徴とも関わりが深く、悲しみと希望という対極の感情を扱う構造が、現代の感情解釈とも共鳴する形で受け継がれています。

5. リーディングに役立つタロット解説

占いでカップ5が出た場合、失敗や喪失に対する強い感情、あるいは過去の後悔に縛られている状況を示唆します。現在の出来事がその人の内面で消化されず、停滞や自己否定につながっている可能性があります。しかし同時に、周囲には気づいていない希望や支援、再起のチャンスが残されていることも暗示します。今は悲しみの最中かもしれませんが、その中で見落としている「大切なもの」に気づくことが運気を好転させる鍵です。感情に正直になること、そして前を向くことの重要性をこのカードは示しています。癒しは時間をかけてやってくるものであり、今はその入り口に立っているのです。